理事長コラム

間欠性跛行―血管年齢測定検査

前回、血管の推定年齢を知る検査についてお伝えしましたが、動脈硬化による血行障害で起こる間欠性跛行についてお話します。少し歩くと下肢がしびれて痛くなり、休むと軽快し歩ける症状を間欠性跛行と言います。神経圧迫が原因の場合は、腰部脊柱管狭窄症が考えられ、一方、血管が原因の場合は、動脈硬化により下肢の動脈が狭くなり血行障害のため下肢痛を起こします。悪化するとだんだん歩行できる距離が短くなり、足の動脈の拍動が減弱し皮膚温も冷たくなり、ふくらはぎも痛くつりやすくなります。動脈硬化による血行障害は高齢化に伴い増えています。早期に治療を開始すると将来下肢の切断などの重症化を防ぎ、予防が可能です。診断には、血管年齢測定検査により足の動脈の狭窄や閉塞など、動脈硬化の進行の程度を推定することができます。簡単な検査ですから下肢がしびれたり痛む場合は、検査を受けてみてください。

(マイタウン H.29年12月1日号掲載)

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血管の推定年齢―血圧脈波検査

歩くと足がしびれて痛む、夜間睡眠中などに足が硬直してつる、いわゆるこむら返りは、足の動脈硬化のサインですが、動脈硬化は全身の血管に起こります。血管は硬くなり、血流が低下し、脳梗塞や心筋梗塞は最も危険な病気です。

血液は細胞に酸素やエネルギーとなる糖分を運びますが、血管には若々しさ、柔らかさが必要です。血管の老化は動脈硬化で、その危険因子は生活習慣病である高血圧、高脂血症(現在では脂質異常症)、糖尿病です。

四肢の血圧の変化、左右差や脈波(血液の拍動)の伝わる速さの測定により動脈硬化の程度が検査でき、動脈の詰まりや硬さの程度の測定から血管の推定年齢がわかります。この検査を血圧脈波検査といい、動脈硬化の検査として簡単に正確にできます。血管を若々しく保ち、生活習慣病の予防のため、定期的に検査することをおすすめします。

(マイタウン H.29年10月1日号掲載)

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高齢者の脱水症―脳梗塞や心筋梗塞

今年は梅雨が明ける前より猛暑となっています。高齢者は一般的に些細な原因で脱水症に陥ります。頻尿や尿失禁、または嚥下障害を恐れての飲水制限、もともと体内に備蓄する水分量が少なく、のどの渇きの感覚が鈍くなっているため、脱水症の発見が遅れます。

その結果、血液が濃縮して脳梗塞や心筋梗塞、意識障害、重症例では血圧低下などショック状態にもなります。高齢者の脱水症を見つけるポイントは、皮膚や舌の乾燥や首や腕の内側の皮膚をつまんで跡が残るかどうかです。確定診断は、電解質や血漿浸透圧、尿酸値の測定などの血液・尿検査が必要です。特に夏場は脳梗塞が多く発症します。高齢者では既に血管の動脈硬化があり、脱水症により血液がドロドロして血栓ができやすいので、この季節の生活指導として起床後十分な水分をとり、炎天下の外出や運動は控えていくようにしましょう。

(マイタウン H.29年8月合併号掲載)

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自分らしく人生を過ごすために

健康で自立した生活を送ることができる期間「健康寿命」が大切です。変形性ひざ関節症など運動器の症状をそのままにしておくと、歩く、座る、立ち上がるといった日常動作に支障が出て、外出や趣味など楽しめなくなります。変形性ひざ関節症は、膝に違和感や痛みを感じたら要注意です。関節にある軟骨がすり減って変形し、痛みや炎症、強張りなどが起こります。この患者さんは特に女性に多く、介護が必要となるリスクが高まります。治療は鎮痛剤や、関節の機能を改善する目的でヒアルロン酸を関節内に注入する方法があります。関節の痛みにより歩くなど体を動かす機会を失ってしまうと、筋力が弱まり、さらに体を動かさなくなるという悪循環に陥ってしまいます。治療はこの悪循環を断ち切ることが重要。そのために鎮痛剤で痛みを和らげ、筋力を維持する運動療法を組み合わせて行うことが推奨されています。

(マイタウン H.29年6月1日掲載)

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川崎市の無料健康診断(メタボ健診)

「メタボリックシンドロームの早期発見と予防」

高齢者は無料で川崎市の健診(メタボ健診)を受けられますが受診率は約3割です。その目的は、高血圧・糖尿病・脂質異常などの生活習慣病の早期発見と予防です。

メタボリックシンドローム(通称メタボ)は、お腹が出ている内臓脂肪の蓄積に高血糖・脂質異常・高血圧のうち2つ以上が組み合わされ動脈硬化を招きやすくなっている状態です。まだ病気ではないけれど放置すると動脈硬化が進んで脳卒中や心臓病が起こりますよと警告されている状態です。内臓脂肪は食事量と運動量のバランスが悪く、エネルギーの支出より収入が多いと溜まります。脂肪細胞からは、糖や脂肪の代謝を悪くする悪玉物質が分泌されています。簡単に言うと「内臓脂肪が蓄積すると、主に代謝が悪くなる」ことがいけないのです。健診結果に表れている高血糖・高血圧・脂質異常は氷山の一角で、その下には、内臓脂肪の大きな塊があるのです。薬で改善するのは見えている氷を削っているだけで、根本的改善にはなりません。内臓脂肪の氷山そのものを小さくすれば、高血圧・高血糖・脂質異常もすべて改善します。

(マイタウン H.29年4月1日掲載)

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脳卒中を疑う5つの症状

脳梗塞と脳出血は症状が非常によく似ています。一般に脳卒中が重いほど意識が障害されますが、しかし外来診察でも意識障害のない脳卒中も多くみています。意識が正常でも安心はできないのです。よくある5つの症状は覚えておいてください。

(1)半身まひやしびれ(右または左の手足におこる)
(2)ろれつが回らない・言葉が出ない(言語障害)
(3)立てない・歩けない・ふらふらする
(4)視野の半分が欠ける・物が二重に見える(物が見えにくいと感じる)
(5)突然の激しい頭痛

これらの症状は本人には分かりませんから、周りの人がおかしいと気づいて病院へ連れて行かなければなりません。私の母も脳梗塞をおこしましたが、その発症時は、調理をしていて包丁をいつものようにうまく使えていないのに気づきました。「どうしたの」と聞くと言葉がろれつが回らずうまくしゃべれませんでした。直ぐに病院を受診し直ぐ入院し事なきを得ました。軽い脳梗塞ではCTやMRIでもすぐには異常が見つからない場合もよくあります。母の場合もそうでした。しかしサインはありましたから直ぐ入院、治療でした。私は専門医ですからそのわずかなサインは分かりましたが、一般の皆さんはそういわれてもなかなか分からないものです。もっと分かりやすい大切なサインだけはぜひ覚えてください。

(1)まず顔をみて、笑った時に片側の口角が下がる、動きが悪い
(2)手の麻痺は手のひらを上向きにして両手を胸の前に伸ばした時に片側の手が下がる
(3)言葉がろれつが回らず、「ぱぴぷぺぽ」がうまく言えない

このうち一つでもあれば脳卒中を疑う必要があります。脳卒中は一刻を争う病気です。普段から必ず前兆がありますからそれを見逃さないことが大切です。脳梗塞では一時的にこれらのサインが出ることがあります【一過性脳虚血発作】。クモ膜下出血では30%の人が事前に比較的軽い頭痛を経験しています。脳出血では事前の前兆はありませんが、高血圧の人におこります。高血圧、コレステロールが高い、糖尿病など生活習慣病の管理が大切です。脳梗塞とクモ膜下出血は事前の検査でリスクが分かりますので、変だなと感じたら専門医をぜひ受診してください。

(マイタウン H.29年2月1日掲載)

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高齢者のめまい、ふらつきが増えています

高齢者の人で冬場になって「めまい、ふらつき」を訴え受診する人が多く、その原因は「中枢性めまい」、すなわち脳梗塞など脳が原因で起こるのが少なくありません。重大な病気の前触れの場合もあり注意が必要です。

めまいには、ぐるぐる回っている「回転性めまい」、ふらふらする、ぐらぐらする「浮動性めまい」、ふーとなる「失神性めまい」などがあります。

めまいは体の平衡感覚、バランスが崩れて起こる症状です。バランスの感覚に働いているのが、目・耳・首の筋肉・手足の関節などにあるセンサー【感覚器】です。それらの感覚が、頭や体の位置に関する情報を脳【平衡中枢】に伝えています。これらの情報がきちんと一致して伝わりますが、一部でも乱れると、めまいやふらつきを起こします。耳の病気でもめまい、ふらつきは起こりますが、高齢者の場合、脳の障害でも起こります。脳は大丈夫かと疑うこと、検査して見逃さないことが大切です。

原因で多いのが一過性脳虚血発作、まれに脳梗塞の場合があります。動脈硬化のせいで狭くなった血管のため、血流が悪くなりめまい、ふらつきが起こるのです。この症状は、早朝目覚めたとき、睡眠中やトイレに行ったとき、入浴中などに起こりやすい特徴があります。特に高齢者では脳梗塞になりやすので注意が必要です。

診断は重大な病気を見逃さないことが大切です。主な原因は、動脈硬化ですから事前に検査【頸動脈エコー】で分かります。「めまい、ふらつき」をたびたび感じる場合は、ぜひ早期に検査を受けて予防することをおすすめします。

(マイタウン H.28年12月1日掲載)

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血管の老化

血管の老化は、動脈が弾力を失って厚く硬くなっていく【動脈硬化】です。心臓は1分間に約5リットルの血液を押し出します。そのため動脈壁には血流による衝撃が加わり、動脈を傷つけます。高血圧が最大の原因です。悪玉コレステロールや中性脂肪【超悪玉】が多くなると血管壁が傷つきます。血管壁の内膜に脂肪の塊【プラーク】でき、動脈が狭くなり血流が悪くなります。また動脈の内膜が傷つき、その傷をふさぐために血栓【血液の塊】ができやすくなります。血栓で詰まったり、剥がれて別の場所で詰まったりすると心筋梗塞、脳こうそくが発症します。

高血圧、脂質異常症、糖尿病や内臓肥満、喫煙が危険因子ですが、骨粗しょう症や睡眠時無呼吸症候群のある方でも起こりやすいといわれています。危険因子の病気は早く治療しましょう。

動脈硬化の検査は、ー鵑齢動脈に超音波で検査をする、血管年齢を測定する検査があります。いずれも外来でもできる簡単な検査です。超音波検査では、詰まり具合で発病の危険性がわかります。血管年齢測定では、動脈の硬さが何歳ぐらいの動脈の硬さか血管年齢で表示されます。動脈が硬いと将来発病の危険性が増します。

では血管の老化を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。21世紀は予防の時代です。自治体で行われている健康診断は、メタボ検診です。この検診は動脈硬化を調べ、心臓病、脳卒中の発症を予防するために行われます。

動脈硬化の予防のためには、まず大切なことは【食事】と【運動】です。食生活では脂質の摂取、特に肉の脂を控え、青魚を食べる、積極的にとりたい脂質は、青魚に含まれている不飽和脂肪酸、特にEPA(イコサペント酸)とDHAです。血液をさらさらにする、中性脂肪を減らす、血圧を下げる効果あります。青魚のさんま、イワシ、サバがおすすめです。EPAのお薬もあり、健康保険でも処方できます。

運動は【有酸素運動】です。しなやかな血管を取り戻す有酸素運動は少し負荷がかかりちょっと汗ばむ程度の運動を1週間に150分程度【例えば1日30分の運動を週に5日間】行うことです。大股歩きが絶対におすすめです。特に足腰の大きな筋肉を鍛えられます。また同時に正しく効果的なウォーキングが自然と身に付きます。介護予防やロコモティブシンドロームの予防にもつながり、健康寿命を伸ばします。

さらに血管の老化【動脈硬化】の予防は、認知症、骨粗しょう症、メタボ対策などにもつながります。

(マイタウン H.28年6月1日掲載)

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散歩の途中で足に痛みやしびれが出るとき

高齢者で腰の違和感や腰痛が続き、足にしびれや痛みがあるとき、「脊柱管狭窄症」かもしれません。普段は何ともないが歩き出すと足が痛み、しびれが出現し、前かがみで休むとまた歩けるようになる(間欠性は行)。

この症状は太ももからふくらはぎや足の裏に起こり、足先が上がらない・スリッパが脱げやすいなど足に力が入りにくい脱力感、歩行時に尿意を催す・夜間の頻尿など排尿障害があるときはすぐ受診を。原因は、脊椎の変形、椎間板や周りのじん帯が分厚くなり神経や血管を圧迫しているなど。CTやMRIなど画像検査で診断し、重症でなければ、理学療法(腰の牽引・温熱療法)や運動療法を行います。

神経の血行を良くする薬も効果的。排尿障害・脱力・痛みがひどい場合は医師と相談し、手術を選択する方法も。日常生活では杖など使用し、前かがみで楽な姿勢を。立ち仕事は片足を踏み台に載せると楽になります。

(マイタウン H.28年4月1日掲載)

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五十肩(肩関節周囲炎)

40〜50代に発症する肩関節の痛みや肩の動きが悪くなる病気。放置して後になって関節の運動制限が起こり、癒着して動かなくなる関節拘縮や凍結肩で来院される場合もよくあります。

五十肩は、関節のまわりの軟骨、腱、じん帯などが老化して炎症を起こすことが原因。痛みの部位や関節の運動制限の程度は、レントゲン撮影やMRI検査で診断がつきます(急な肩の激痛で発症する石灰がたまる腱の炎症は別の病気です)。痛みの強い急性期は安静を保ち、関節注射や鎮痛剤などが有効です。急性期が過ぎたら、温熱療法や運動療法による拘縮予防や筋力を回復させるリハビリが必要。理学療法士による個別的なリハビリが特に効果的。

【凍結肩】の人は、治療が困難で回復に時間を要します。少し継続する肩の痛みがある場合は、早く受診して原因を調べた方が治療成績は良好です。

(マイタウン H.28年2月1日掲載)

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脊柱管狭窄症〜坐骨神経痛と歩行障害

高齢者の腰痛の原因は、骨粗鬆症がよく知られていますが、脊椎の老化変性により、馬尾神経という脊髄の末端にある神経が障害されて起こる病気があります。この脊柱管狭窄症は下肢や臀部にしびれや痛み、灼熱感や下肢の脱力、膀胱や直腸の障害など多彩な症状が出ます。悪化すると500m以上は休まないと歩けなくなり、日常生活が困難になり、手術が必要な場合が多く、正確な診断が必要です。

歩行障害を起こす病気に、下肢の血管が動脈硬化で徐々に狭くなって起こる閉塞性動脈硬化症もよく見られます。この場合は、ふくらはぎの筋肉が痙攣してこわばり痛くなり、足の血圧が低下してきます。薬物治療が中心ですから鑑別診断が必要です。

高齢者の背骨の病気は多く、歩行障害がある場合は、手術により劇的に治りますから、早期の診断が大切です。

(マイタウン H.27年12月1日掲載)

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高齢者のめまいには隠れ脳梗塞?

来院する高齢者の中には、めまいを訴え脳卒中の前ぶれかと心配されますが、グルグル回る回転性のめまいでは、内耳障害が原因のメニエール病や良性発作性頭位めまい症もあります。一部には危険なめまいである小脳や脳幹に起こる脳卒中があります。危険なめまいの特徴は突然発症し物が二重に見える・少し顔の動きがおかしい・口のもつれ・飲み込みが悪い・歩行がふらつくなどの症状で、中枢性の脳病変を疑います。ふらふらする浮動性のめまいでは脳血流の低下原因も多く、精査をすると小さな小脳梗塞などが診断されたりします。

高齢者の増加に伴い、隠れ脳梗塞によるめまいが増えています。危険な脳梗塞の予備軍なので、MRIによる早期発見が必要です。最近では、血液検査でアクロレインという物質を測定し、簡単に脳梗塞発症リスクを評価し、大きな事態を予防する方法もあります。

(マイタウン H.27年10月1日掲載)

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熱中症の予防

【こまめな水分・塩分補給】
【体の水分を貯蔵する筋肉を鍛える】

熱中症は、気温や湿度が高いことで体内の水分や塩分【ナトリウム】のバランスが崩れ、体温調節ができなくなり起こります。

初期症状の特徴は、めまい・立ちくらみ・体がだるい・筋肉のこむら返りや、ズキンズキンとする頭痛・手足のしびれ・吐き気などです。熱中症のサインは、皮膚をつまむと元に戻りにくい【富士山サイン】や、口がネバネバになることです。高齢者の熱中症は、特に筋肉の少ない痩せた独居の女性が室内で起こりやすく、救急搬送になることも。エアコン利用を控える高齢者が多く、重症化する原因です。

予防は、エアコンを使い暑さを避け、経口補水液(OS1)と塩分をこまめにとること。体の水分の貯蔵庫である、特に足腰の太い筋肉を鍛えることも効果があります。

(マイタウン H.27年8月1日掲載)

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あなたはロコモ?

ロコモ(ロコモティブ・シンドローム)とは、運動器(骨・関節・軟骨・筋肉・神経など)の障害により、寝たきりや介護が必要な状態になりやすく、その危険性が高い状態のことです。

運動神経は連携して働くことで体をスムーズに動かしますが、どこか1か所でも悪くなると体全体に影響し、うまく動かなくなり寝たきりや要介護につながります(下記の図参照)。

平均寿命-健康寿命(自立して生活できる期間)=約10年(要介護状態)。日本人は平均寿命に比べ健康寿命が約10年短いと言われています。要介護状態予備軍から運動の習慣を付けて、ロコモの負の連鎖を断ち切り、健康寿命を延ばしましょう。

(マイタウン H.27年6月掲載)

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ロコモ予防〜健康寿命を伸ばそう

「ロコモ」とは、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)の略称です。筋肉・骨・関節といった運動器の障害が起き、歩行などの移動能力が低下した状態を言います。50代以上で腰痛や膝痛など運動器に何らかの支障がある人は将来、要介護となるリスクが高いロコモ予備軍と言えるでしょう。

予防のための対策として、特に下肢の筋肉(太もも、ふくらはぎ)を運動で鍛えることが重要です。「筋肉ケア」を意識し、週2回の適度な運動習慣と、毎日の生活の中で少し負荷をかけた運動を心掛けることがポイントです。さらに筋肉強化のため、たんぱく質(肉や魚)を食べることも重要です。

健康に日常生活を送れる「健康寿命」を伸ばし、いつまでも自分の足で歩き続けていくために、ロコモ予防は今こそ必要です。

今春、アクアピアサロンでロコモ予防教室が始まる予定です。

(マイタウン H.27年4月掲載)

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変形性膝関節症〜筋肉を鍛える運動療法

初期は起床時や歩き始め、立ち上がった時など、動き初めに膝に痛みが走ることがあります。これは急激な動作が膝に大きな負担をかけるためで、痛みはほどなく消えます。『このほどなく消えてしまう動き始めの痛み』が病気のサインです。この時、膝には体重の3倍の負荷がかかり、軟骨がすり減ります。一度傷ついた軟骨はもとには戻りません。

膝に痛みがあると、外出を控えがちになり、あまり歩かなくなります。すると、膝関節を守っている筋肉(大腿四頭筋、ハムストリング)が衰え、膝への負担がより大きくなります。治療の基本が筋肉を鍛える運動療法で、ウオーキングや自転車こぎなどが適しています。運動療法士の適切な指導のもとに行うほうが有効です。

介護予防のためにも、歩く、立つ、座るという日常動作は大切です。健康寿命を延ばし元気で自立した老後を過ごすためにも、大腿四頭筋・ハムストリングを鍛えましょう。

(マイタウン H.27年2月掲載)

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脳卒中を疑うとき

急に左半身が麻痺した時は、右脳に異常があり、言葉がでなくなると左脳に異常があります。脳は、それぞれの部位に特定の働きが決まっています。脳卒中で症状が起こると、脳障害の対応する部位を推定し診断します。麻痺・しびれ・ふらつきや言語障害などわかりやすい症状は診断が容易です。

しかし脳は、情緒や判断、認識など高度な機能もあり、これらの機能が障害されると診断が困難です。

高齢者の脳卒中は、認知症や異常行動など典型的でない症状も多くみられます。頭痛で来院した、くも膜下出血を偏頭痛と診断する。回転性めまいで来院した小脳出血を内耳性めまいとして耳鼻科へ紹介する。視野障害で来院した後頭葉の病変を眼科疾患と診断する。性格の変化で来院した前頭葉の脳卒中を精神科へ紹介するなど、よくある診断に迷う例です。

(マイタウン H.26年12月掲載)

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あなたの「からだ年齢」は、何歳?

「健康」は、目に見えない最も大切な財産です

それを守り、若さを保つためには「運動」することが一番有効です。アクティブシニア世代は、アンチエイジングのトレンドリーダーで、いくつになっても健やかに年齢を重ね、元気なからだで人生を送りたいと思うものです。アンチエイジングの真の目的は、からだの内側から老化(エイジング)のスピードを緩やかにして若々しさを保ち、平均寿命と健康寿命の差(約10年)を縮めることです。実際の年齢より若々しい人と残念ながら老けて見える人がいるのは何故でしょう?その差の秘密は、「からだ年齢」です。「からだ年齢」とは、「脳年齢」「血管年齢」「骨年齢」「筋肉年齢」のことです。老化(エイジング)にともなっていろいろな機能が低下していきます。

「脳年齢」の老化は、認知症を引き起こします

認知症は、加齢による物忘れとは違い、「エイジング」にともない、記憶力・判断力の障害、社会生活や対人関係に支障が出てくる状態です。高齢化の進展とともに認知症の人数も増加しています。認知症の人は、65歳以上の高齢者では、平成22年度の時点で7人に1人程度(439万人)、認知症の前段階と考えられる軽度認知障害を有する人も加えると4人に1人の割合(820万人)です。年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も認知症の人は増え続けると予想されます。
脳を老化させる4つのNG習慣とは、.好沺璽肇侫ンやパソコンに頼りすぎること、⊃佑琉口を言うこと、2箸伐饉劼留復のみで運動不足であること、す堝阿いつもワンパターンであること、と言われています。日頃からこの4つのNG習慣にあてはまらないように脳を刺激することが大切です。

「血管年齢」の老化は、動脈硬化やメタボリックシンドロームを引き起こします

動脈硬化はコレステロールが血管の内側にたまり、こぶのようなふくらみ(プラーク)ができます。このプラークを小さくすることで血管は若返ります。その主役は、善玉コレステロールです。コレステロールは、大切な栄養や細胞を包む細胞膜の材料です。
細胞の中のコレステロールは、善玉・悪玉の区別はありません。ただのコレステロールです。実は、善玉・悪玉と呼ばれるのは血液中を運ばれているときだけなのです。血液中でコレステロールを運ぶのは「たんぱく質」です。ヾ梁,ら細胞へ新しいコレステロールを配達するたんぱく質を「配達トラック」とし、∈挧Δら古いコレステロールを回収して肝臓に捨てに行くたんぱく質を「回収トラック」とします。配達トラックと積み荷のコレステロールを合わせて「善玉コレステロール」と呼び、回収トラックと積み荷のコレステロールを合わせて「悪玉コレステロール」と呼びます。積み荷のコレステロールは同じで、運んでいるトラック(たんぱく質)と運ばれている方向が違うだけなのです。ですから、卵のコレステロールには、悪玉・善玉の区別はありません。卵を食べた後、吸収されたコレステロールが血液中を運ばれる時、善玉になったり悪玉になったりするのです。
回収と配達は、からだにとって大切な働きです。配達トラック(たんぱく質)が増えすぎると動脈硬化になり、回収トラックは細胞から余分なコレステロールを回収するので動脈硬化は改善され、プラークは小さくなります。回収トラックを増やすには、有酸素運動が有効です。ランニング以外の運動でも大丈夫。1日に歩く歩数が多ければ多いほど、善玉の値が高くなることがわかっています。
動脈硬化は検査で分かります。CAVI検査と呼ばれ、仰向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を測定します。検査時間は5分程度、血圧測定と同じ感覚でできる簡単な検査です。

「骨年齢」(骨の健康)は、自分では気づきにくいものです

骨の老化である骨粗鬆症で特に注意が必要なのは、閉経後の女性です。50歳以上になってくると女性ホルモンの減少により骨量がぐんと減ります。最大骨量の70%まで減少すると骨粗鬆症と診断されます。骨の新陳代謝(骨吸収と骨形成)により約3年で全身の骨が入れ替わります。
骨の新陳代謝のバランスは、生活習慣を改善することで何歳からでも整えることが可能です。丈夫な骨の三大要素は、「運動」「食事」「日光浴」です。骨を強くして健康寿命をアップしましょう。介護を必要とせずに自立して生活ができる、いわゆる「健康寿命」を伸ばしましょう。
骨年齢測定は、超音波を使って骨量を測定する検査です。X線検査ではないので安心です。

「筋肉年齢」の老化は、転倒につながり介護が必要になります

要介護状態に至る要因は、脳卒中・認知症・転倒・骨折などが挙げられます。「転倒しない」ためのカギをにぎるのは、ボディ・インナーマッスルと呼ばれるからだの深部にある筋肉の強化です。インナーマッスルをきちんとトレーニングすることで、健全な立位姿勢や歩行動作が保たれます。そもそも運動とは脳の指令に筋肉が反応することで、からだへの適切な運動という刺激は脳の活性化にも非常に有効です。運動することを継続すればアクティブに生きる活力の源になります。運動には、〕酸素運動、筋トレ、ストレッチ があります。若さと健康を維持するために重要な成長ホルモンの分泌を促すことが大事です。大人になっても成長ホルモンは放出され、代謝の促進や、筋肉や骨の形成において大切な役割をしています。
筋肉測定では、体組成計を使って測定をします。からだの筋肉・脂肪・水分・骨などの成分を想定して、筋肉量がわかります。

健やかに年齢を重ね、10年先、20年先もはつらつとした自分でいるために、生活習慣の改善をしましょう。今更遅いと思わなくても大丈夫です。からだ年齢は心がけ次第で変わります。その第一歩は、自分の弱点を知ること。まずは、あなたの脳年齢・血管年齢・骨年齢・筋肉年齢のチェックから始めませんか?
長寿社会を迎えたいま、老化を防ぎ、健やかに年齢を重ね、QOL(Quality of Life「生活の質」)を高めるため、まずは手軽な運動から始めましょう。

(マイタウン H.26年10月掲載)

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やる気の低下のかげに隠れ脳梗塞あり

うつ病のように気持ちが落ち込むことはなく、体調も悪くないのに仕事や趣味などにやる気をなくし、単純なミスを繰り返えし、口数が減ったような場合は、隠れ脳梗塞の可能性があります。

その原因は高血圧です。高血圧は放置すると血管に動脈硬化を起こし、脳の血管が狭くなり小さな隠れ脳梗塞を起こします。次第に梗塞の数があちらこちらに増え、脳の血流が低下するようになると、はっきりとした症状はないけれども、脳の活動(記憶・感情・やる気)がダメージを受けることがあります。特に脳の線条体という「やる気」にかかわる部位の細い血管が詰まると、突然やる気がなくなる場合があります。口数が減る、周りが促さないと何もしないという状態が続きます。このやる気の低下で病気に気づくこともあります。

また血管性認知症(まだら痴呆)は、記憶力の低下が目立つのに、理解力や判断力はしっかりした認知症です。この認知症も小さな隠れ脳梗塞の場合が多く、はじめの症状はやる気がなくなり、なんとなく元気がない、口数が少なくなったという場合が多いのです。

この隠れ脳梗塞の原因は高血圧ですから、上が140以上、下が90以上が長く続く場合は要注意です。さらにこの隠れ脳梗塞によるやる気の低下は、リハビリで回復することも分かっています。早期診断が大切です。

(マイタウン H.26年8月掲載)

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腰痛と椎間板ヘルニア

前かがみの姿勢を続けると腰痛が強くなる・椅子に座っているのが辛い・お尻から太もも、ふくらはぎにかけての痛みやしびれがある・脚に力が入り難いなどの症状は、腰の椎間板ヘルニアに特徴的な症状です。前かがみを続けると痛みが強くなるのも特徴です。

椎間板は背骨の間のクッションです。腰に大きな負担がかかるとこの椎間板にひびが入り、内部にあるゼリー状の物質(髄核)が軟骨と一緒に外にとび出してしまうことがあります。これが椎間板ヘルニアです。

このゼリー状の物質が神経を圧迫すると坐骨神経痛が起こり、お尻から太もも・ふくらはぎにかけての痛みやしびれ、麻痺して脚に力が入り難いなどの神経症状が現れやすいのも特徴です。進行すると尿が出ない排尿障害も起こります。

「ヘルニア」というとすぐに手術を考えがちですが、80%の患者さんは保存療法(薬やリハビリ)で治療できます。3〜6か月ほど保存療法を続けると、飛び出したゼリー状の物質が自然に吸収されることがあるのです。また炎症による痛みには鎮痛剤が効果的ですが、坐骨神経痛のような神経障害による痛みには、オピオイド鎮痛剤など別に有効な薬剤があります。腰痛の予防には、姿勢を良くするために運動療法が効果的です。特に腹筋(腹横筋)と背筋(脊柱起立筋)の強化をする運動が効果的です。これらは主治医に相談して、日常から自分でできる運動を心がけましょう。

(マイタウン H.26年6月掲載)

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慢性頭痛をあきらめない

頭痛には、1次性頭痛(慢性頭痛)と別の病気が原因で起こる2次性頭痛があります。命の危険や後遺症を残す心配がある頭痛は2次性頭痛です。ほとんどの頭痛は心配のない慢性頭痛(いわゆる頭痛持ち)ですが、危険な頭痛の見極めは大切です。一番のポイントは「初めて経験する激しい痛み」であるかどうかです。その場合は命に関わる重大な病気が疑われます。専門医を受診して、診断・治療を受けることが大切です。

一方、繰り返して起こるいつもの痛みであれば慢性頭痛です。頭痛の種類によっては薬が非常によく効きます。慢性頭痛は、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛に分けられます。偏頭痛の症状は特徴的で、「ズキンズキンと脈打つように痛む、吐き気や嘔吐を伴う、光や音やにおいに過敏になる」の3つです。痛みの前にキラキラ、ギザギザした万華鏡のような光が見える、独特のにおいがするなどの特有の前兆がある場合もあります。この片頭痛はトリプタン製剤が特効薬で、頭痛はいっぺんに治ります。緊張型頭痛は、全体の70%を占める最も多い頭痛です。頭の両側をぎゅっーと締め付けられる様な痛みで、市販の鎮痛剤でも効果があります。まれですが強烈なのが、群発頭痛。激しい痛みなのでほとんどの人が病院に駆け込みます。最大の特徴は、片側の眼の奥の耐え難い痛みです。痛む側の眼が充血して涙が出たり鼻づまりや鼻水があるので、顔を見て診断がつく頭痛です。この痛みは、眼に何か突き刺さったような、あるいは眼球をえぐられるような痛みを訴えます。高濃度の酸素投与かトリプタン製剤の点鼻薬で治療します。

片頭痛のセルフケアとして、誘因となる赤ワイン・チーズ・チョコレートはなるべくとらないようにすることが予防にもなります。

(マイタウン H.26年4月掲載)

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危険な老化を見逃さない

日常生活を健康で支障なく送ることができる期間を「健康寿命」といいます。しかしこの健康寿命を脅かす危険な老化があります。/が細くなるためにおこる「低栄養」、足腰の衰えによる「歩行能力の低下」、G召力群修砲茲襦崘知能力の低下」、す密度の減少は寝たきりや要介護状態になりやすいため、健康寿命を脅かす危険な老化といえます。

まず食べることで大切なことは、動物性たんぱく質、肉、魚、卵、乳製品をしっかりとることです。動物性タンパク質をしっかりとっている高齢者は、血液中のアルブミンというタンパク質の値が高く、長生きする傾向があります。次に「老化は脚から」といわれるように年をとると歩行能力が徐々に衰えてきます。そして歩行速度が低下します。その原因は、筋肉の老化です。足腰の筋肉は加齢により減少しやすく、特に使わないでいるとどんどん減っていきます。よく歩いて足腰を鍛えましょう。歩幅を広げて少し速歩出歩くと、歩行能力はかなりアップします。近年、運動することは認知症予防に効果が望めることが分かってきました。特に認知症予防になる運動は、「ながら運動」が効果的です。運動にゲームの要素を取り入れた方法で、考えながら体を動かすのがポイントです。仲間と散歩しながらしりとりをする、足踏みをしたり、手拍子をとったりしながら歌を歌うなど2つ以上のことを同時に行ないながら運動することです。

最後に脳の健康のためには、活動的な生活、人や社会と関わり、仲間と余暇を楽しむなど積極的な交流が大切です。脳も体と同じで使わないでいるとどんどん衰えていくのです。元気で長生きする秘訣は、「よく食べ、よく歩き、人とふれあう」この当たり前のことを毎日継続することが、健康寿命への近道です。

(マイタウン H.26年2月掲載)

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閃輝(せんき)暗点症とは

閃輝暗点症とは、片頭痛の前兆として起こることが多く、視野の一部にギザギザとした稲妻のような光が見え始め、物がゆがんで見え、目の前が真っ暗になるような視覚障害です。30分位すると視野は回復しますが、その後ズキンズキンと片頭痛が襲ってきます。

目の病気ではなく、脳内にある視覚に関係する後頭葉の血管が収縮拡張(痙攣)して起こる頭痛で、その片頭痛の前兆として起こります。体を動かすと頭痛が強くなるために、暗い部屋でじっと静かにしていたくなります。閃輝暗点症だけで頭痛のない場合、まれに脳梗塞や脳腫瘍、一過性の脳循環障害が原因である可能性もあります。チョコレート、チーズやワインの飲食で起こりやすいと言われています。CTやMRIなどの検査も必要です。

現在では、特効薬もありますので、眼科だけではなく、神経専門医の受診もおすすめします。

(マイタウン H.25年12月掲載)

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新しい認知症診断―アルツハイマー病

高齢化がすすみ90歳以上の長寿者は増えています。このような高齢者では、健康な人と比べて認知症との境界が曖昧になり区別することが困難になります。

100歳以上では、認知機能が正常である方がまれです。単純にいうとほとんどの人が他の病気で亡くなる場合を除くと百歳までにアルツハイマー病(AD)を発症すると考えられます。ADの発病原因は、脳内にアミロイド蛋白やタウ蛋白が蓄積し神経細胞を破壊するからです。これらの蛋白質の蓄積は40歳代以降に始まっていてADを発病するまで20−30年の歳月を要することが分かっています。今までの認知症の診断は、病歴と臨床症状をもとに行なわれていました。従って認知症状の低下が認められない場合はADと診断されませんでした。患者さんが亡くなった後の脳の解剖で、大量のアミロイドタンパク質によるプラーク(老人斑)やタウ蛋白質の変化が脳内で確認されて初めて、ADであることが診断されていました。

その後診断技術は進歩し、これらのタンパク質の蓄積を新しい診断技術で早期診断が可能になってきました。/餘娶〆困妊織γ素鬚梁定する(2012年より健康保険でもできます)▲▲潺蹈ぅ疋っ素鬚PET検査で画像診断するPET検査やSPECT検査で脳血流を測定し特徴的な血流低下のパターンを調べることができます、MRIによる側頭葉、頭頂葉の特徴的な萎縮パターンで早期診断が可能になってきています。

米国立衛生研究所(NIH)では診断技術の進歩をとりいれて、27年ぶりにアルツハイマー病(AD)の診断基準を改訂しました。ADを無症候期、軽度認知症、認知症と3期に分けて診断します。日本でも[オレンジプラン]という認知症施策推進5か年計画が平成25年から29年にかけて始まります。新しい画像診断や髄液検査を駆使して早期発見、早期対応する政策が始まりました。これからの認知症に対する新しい考え方は、誰でもが発病すると考えられる認知症は、「誰がではなく、いつ発病するか?」が問題であり、早期診断、早期治療を目指す時代になってきています。

A:アルツハイマー病の人の脳
B:健康な人の脳

(マイタウン H.25年10月原稿)

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ボデイメンテナンス〜カラダの悲鳴が聞こえていますか?〜

平均寿命男性79.6歳、女性86.3歳。健康寿命男性70.4歳、女性73.6歳。健康寿命とは、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間です。

では平均寿命−健康寿命は、男性で9歳、女性で13歳、この期間は病気や介護などの問題を抱えながら生きる期間です。そこで健康寿命を延ばし、健康で自立した生活を続けたいと誰でもが願います。健康で長生きすることは万人の望む所だと思います。健康づくりのための運動のポイントは、1.有酸素運動と、2.筋肉や骨により強い抵抗や刺激を与えるストレッチや筋力トレーニングを組み合わせたものです。骨・筋肉・関節・脳…カラダのあらゆる部分は、加齢と共に衰えていきますし、筋肉を使わずに怠けさせてしまうことでも容赦なく衰えていきます。 「動かないから衰える→動くときついので動かない」という悪循環がカラダに染みつくと改善するのは難しくなってきます。

また、運動することは、脳と神経に密接な関係があります。人間は20歳以降、1日で10万個の脳神経細胞が死んで行きます。脳細胞が減ってしまうと脳が萎縮するため、うつ・認知症に繋がりやすくなります。加齢の影響を強く受ける症状ですから、物覚えが悪くなることも、脳の力が低下しているサインなのです。実は脳の老化を遅らせるためには、運動が効果的だと言われています。運動することで、脳内のセロトニンというホルモンが増加し気分は爽快になり、明るい気分になります。脳が活発に働くのです。ボデイメンテナンスの肝は、習慣として日常生活に根付かせることです。厚生労働省の研究では日常生活でよくカラダを動かしている人は、あまり運動をしない人に比べて、死亡率が約3割程低くなることが分かっています。できるだけ生活の中で運動する習慣を身につけることが、いつまでも健康で長生きできるカラダをつくることに繋がります。

(マイタウン H.25年8月掲載)

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歩行障害から始まる認知症

歩きづらい、物忘れがひどい、尿失禁。高齢者によく見られる症状ですが、改善できる場合があります。先日、浜松の方からメールがあり、「53歳の兄が若年性認知症といわれました。手術で治る場合もあるのでしょうか」との問合せでした。この方の質問は、「特発性正常圧水頭症」のことでした。あまり知られていませんが、原因不明で脳室内に髄液が溜って起る病気です。まず、初期に起るのが歩行障害です。高齢者が歩くのを怖がったり、立ち上がる時にフラついたりした場合、注意が必要です。歩行困難はよく見られますが、特徴があります。足を上げづらく、小刻みに少しずつ、つま先を外に向け、足と足の幅が開き気味に歩きます。歩く時に第一歩が出にくい、すり足のため歩きにくく、立つと不安定です。次第に認知症が現れ、やがて尿失禁へと病気は進行します。転倒リスクが高く、骨折を経験している人も多くいます。この病気は、脳外科では基本的な治療である1時間程度の「髄液シャント」手術で改善されます。検査は、MRIやCTで髄液による脳室の拡大による水頭症、歩行テスト、認知症のテストを行った後、髄液タップテストで症状が改善するかどうかを判定します。タップテストで歩行が改善する、無表情だった人が笑うなど明らかに改善する場合は、ほぼ正常圧水頭症と診断されます。歩行障害は90%程度、認知症や尿失禁は70%程度の改善が見られます。高齢者によく見られる歩行障害、認知症、尿失禁を単なる加齢と片付けないで、専門医に相談してください。介護をしていく上でもこの「正常圧水頭症」を治療できれば恩恵は大きいと思います。

(マイタウン H.25年6月号掲載)

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認知症の予防

認知症(アルツハイマー病)は、現在100万人以上の患者さんがいる誰でもが発病する可能性がある病気で、今後ますます増えていくと思われます。

認知症の患者さんがいても思いやりの気持ちで接している家族の中では、あまり困ることが無いように感じます。物忘れがあってもおおらかに工夫して接しています。一方、困っている家族は、いろいろな周辺症状を出すことで介護が困難になっているようです。夜に徘徊したり、暴言や暴れたりする症状は、本人のプライドが傷ついたり、言動や行動が否定されると症状が悪化する場合が多いのです。思いやりの気持ちで接してほしいと思います。

認知症は、最新の研究では原因となるアミロイド蛋白を分解する治療に成功しています。認知症が治る時代が間近です。少しでも進行を遅らせる薬で治療し、またその予防に努めましょう。

認知症は、外出もせず一日中テレビを見て過ごすような刺激のない生活をしていると発症しやすいといわれます。新聞を読む、手芸、カラオケなど趣味を楽しむ、近所の人と会話し友達を作り、脳に刺激を与える良い習慣を持ちましょう。

30分程度の軽く汗ばむ程度のウオーキング、体操など地域の教室に参加し友達と一緒に楽しむ運動は、筋肉だけではなく脳にも良い刺激になります。元気で長生きするために、無理なく楽しめる運動が非常に効果的です。

(マイタウン H.25年4月原稿)

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